読書感想文『ライオンのくにのネズミ』あらすじと伝えたいこと

『ライオンのくにのネズミ』あらすじ＆おすすめポイント

『ライオンのくにのネズミ』あらすじ

ネズミの家族はライオンの国に引っ越しました。ネズミはライオンの国の学校へ通うようになります。

ライオンの国では何もかもが大きくて、みんなライオン語を話します。それだけでもネズミは学校へ行くのが憂鬱になります。

お母さんはお弁当にネズミの好きなものをたくさん入れてくれます。でもある日、それを見たライオンから「ガギャオ！」と吠えられてしまいました。もうネズミはびっくりです。

ネズミはライオンの国がさらに嫌になってしまいました。「ライオンのお弁当箱の中にはネズミが入っているのかも・・・。」なんて考えて、迎えに来たお母さんに向かってわあわあ泣きました。

一方で、ネズミのお父さんとお母さんはライオンの国が気に入っているようです。ネズミは「お父さんもお母さんもライオン語を話すようになったら、ぼくは一人ぼっちだ。」と、とても不安になります。

そんな中でも、しばらくするとリスと仲良くなることができました。リスの国では男の子と女の子は別の学校に行くし、女の子はあまりスポーツをしないようです。そのうえ、戦争をしているらしく、終わるまではリスの国に帰れないそうです。

夏になるとサッカー教室が開かれました。ネズミはサッカーが得意ですが、リスは上手くできません。そんなリスを見て、ライオンたちは馬鹿にして笑います。ネズミはだんだん腹が立ってきて「リスを笑うな！」と叫びました。そしてライオンたちと勝負をすることになります。ネズミはすばしっこくライオンたちをくぐりぬけて、ゴール前のリスにパス！そしてリスの見事なシュートが決まりました。

その後お弁当を食べているとライオンがやってきて「ネズミはいつも逃げてしまうから、嫌われていると思っていた。おれ、お前のお弁当のサッカーボール、食べてみたかったんだ。」と話してくれました。不思議とこの時、ネズミにはライオンの言葉がよくわかったのです。

そしてライオンとお弁当の交換をしますが、ライオンのお弁当にはもちろんネズミなんて入っていませんでした。

ネズミは気づきます。ライオンのことを知ろうとしていなかったことに。それに気づいた時、ライオンはもうライオンではなくなっていました。

お話の見どころ・読みどころ＆おすすめポイント

引っ越しとまではいかなくても、新しい環境に慣れるのは結構大変ですよね。新しい習い事、クラス替えなどに戸惑うお子さんも多いと思います。

そんなお子さんと一緒に読んでみてください！きっと「あ、大丈夫なんだ。」と少し思えるはずですよ！！

読書感想文『ライオンのくにのネズミ』例文

『ライオンのくにのネズミ』対象年齢は小学校低学年くらい～

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ライオンのくにのネズミ

『ライオンのくにのネズミ』　さかとくみ雪(著)　中央公論新社 (2024/11/7)より

【書店員が選ぶ絵本新人賞2024大賞作品】
父親の転勤でライオンのくにに引っ越したねずみの家族。ライオンが怖くて仕方がない子ねずみだったが、あることをきっかけにライオンと対決することに。使う言葉も習慣も体の大きさも違う彼らはわかりあうことができるのか？「優しさと勇気」についての絵本としても、「国際理解教育」の教材としても読める、幅広い層に届けたい１冊。

引用元：ライオンのくにのネズミ（アマゾン）

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『ライオンのくにのネズミ』で伝えたいこと

見えているものが物事の本質のすべてではない

ネズミの目にはライオンは「大きくて怖くて何を言っているのか分からない存在」でした。実際にライオンは体が大きくて声も大きく、言葉も違います。

でもそれはネズミがライオンを表面的に見ていた結果です。先入観もあったでしょう。

わたしたちはあらゆる物事を、まずは見た目で判断します。人ならば着ている服や表情、本ならば厚さや字の大きさ。その見立てが合っている所もあるのでしょうが、それがすべてではないはずです。

話せば優しい人かもしれないし、読んでみればとても面白い本かもしれません。

”見えているものだけがすべてではない”ということを頭に置き、理解しようとする努力を惜しまないことが大切ですね。

知らないことを知る努力をしよう

「知らないこと」は知らないままでいることもできます。でもそれだとネズミはずっとライオンの気持ちを理解できず、ライオンの国で楽しく生活することもできなかったでしょう。

「知らないこと」を知るには、ちょっとした努力と勇気がいります。自分から話しかけてみる、いろんな方法で調べてみる、というように、自分から動いてみる必要があります。

ネズミも勇気をもってリスをかばったことで、ライオンと打ち解けるきっかけをつかみました。

「知らないこと」は時に不安であったり怖いことだったりします。でも、分かってしまえば「な～んだ。」となることも多いものです。

自分の世界を広げ、生きやすくするために、「知らないこと」を知る努力をしてみましょう。

様々な国、文化、慣習の人とどのように向き合うべきか考えよう

世界には様々な国があって、それぞれに文化、言語、慣習があります。違う国へ行った時、その違いに戸惑うのは当然です。ですが、その違いを批判することなく、受け入れて尊重することが大切です。

本の中で、リスの国では戦争をしていて、自分の国に帰れない、ということになっています。自分の近くにいるあの人も、何か大きな事情を抱えているかもしれません。

国と国で対立することはあっても、そこで暮らす人と人は本当は対立する必要はないはずです。

文化や言語、慣習の違いを尊重し、理解することは、自分自身の生き方を尊重することにもなります。

読書感想文『ライオンのくにのネズミ』あらすじと伝えたいこと　まとめ

今回は400字詰め原稿用紙2枚分です（800字）

知らない土地に引っ越すことは少なからず不安がつきまといます。大人でもそうなので、子どもにとっては一大事かもしれません。まして言葉も分からない所へ引っ越したネズミは、よっぽど心細かったことでしょう。

でもネズミは、リスをかばったことをきっかけに、ライオンの本心を知ることができ、「知ろうとしなかったのは自分だ。」と気づくことができました。ネズミの大きな成長ですね。

自分の殻に閉じこもっていると、分からないことだらけで、不安も不安のままです。でも、勇気を持って行動することで殻を破り、自分の世界も広がっていきます。あの子に話しかける勇気、あの国について調べる努力、その一歩を踏み出してみましょう。

また、最後のページで、ライオンやネズミだった登場人物がみんな人間になっています。個人的には人間にしないほうが好きかもしれません・・・。人間にしたことで妙に教訓じみた感じが出てしまったように思います。・・・個人的な意見です。

わたしにとって「知ろうとする努力」はけっこうしんどいです。超がたくさんつく内向的な性格ですので。分からなくて不安なことが日々出現します。わたしはいつもネズミのままです・・・。